Japanese
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Current Opinion
呼吸器感染症病態生理と治療を中心に
Respiratory Tract Infections:focusing on pathophysiology and treatment
朝野 和典
1
Kazunori Tomono
1
1長崎大学医学部第二内科
1Second Department of Internal Medicine, Nagasaki University School of Medicine
pp.1153-1157
発行日 2000年11月15日
Published Date 2000/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902192
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■呼吸器感染症をめぐる最近1年間の話題
呼吸器感染症のこの1年間の話題として,まず,わが国では日本呼吸器学会から市中肺炎のガイドライン1)が出されたことがあげられる.これまでに,米国,英国,カナダなどで肺炎のガイドラインが出されているが,日本でもようやく市中肺炎の診断と治療のガイドラインが示された.今後,同じく呼吸器学会から院内肺炎と慢性気道感染症に関するガイドラインが発表される予定とのことである.
このガイドライン作成の過程で,大きな問題のひとつとなったのが,日本におけるevidence.based medicineとしての資料が極めて少ないことであった.原因微生物の頻度から予後因子にいたるまで,ガイドラインの骨子となる科学的に検証可能な情報が少なく,推奨する診断,治療の根拠の多くが,欧米の文献をもとにしており,今後のわが国の感染症研究に大きな課題を残した.
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