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■冠動脈インターベンションをめぐる最近1年間の話題
冠動脈疾患の治療体系において冠動脈インターベンションの役割は,特に慢性虚血性心疾患における短期的効果,すなわち一定期間における有症候性虚血発作の減少という点においては異論がない.また,急性冠症候群における冠動脈インターベンションに関しては,特にステント留置の有効性が明らかになりつつある1).一方,冠動脈インターベンションの長期有効性を制限しているものとして,依然として再狭窄の問題と生命予後の改善に貢献しているか不明確な点にある.
再狭窄に関しては,種々の方法により再狭窄機転の抑制を行う努力が行われている.特に血小板IIb/IIIa受容体拮抗薬の使用2)やスタチン系3)に代表される補助的薬物の使用が冠動脈インターベンション後の心事故発生頻度を減少させ,慢性期予後の改善に効果があることが報告されている.非薬物的方法として,最近になり報告された超音波照射によるステント再狭窄の予防と,遠隔期まで含めた有効性が明らかになりつつある冠動脈内放射線治療とに期待が寄せられる.前者は700KHzの超音波を(診断に用いられる周波数は20〜40MHz)ステント留置後に冠動脈内照射することによりステント内新生内膜の増殖を抑制しようとするもので,ブタの冠動脈ステント留置後の内膜増殖量をコントロールに比べ30%減少させたという報告がなされた4).本法は欧米での臨床試験が始まっており,近々本邦でも治験が開始される計画となっている.冠動脈内放射線治療は欧米での多施設臨床試験がほぼ出揃い,その有効性に期待がかかる.ただし,このなかで明らかになった約10%の症例にみられる慢性期ステント血栓症は,冠動脈内放射線によるステント部の再内皮化の遅延によって惹起されると考えられ,本法のアキレス腱として懸念される.冠動脈内放射線療法の臨床成績の結果については次項において詳述する.
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