Japanese
English
Current Opinion
急性呼吸促迫症候群(ARDS)病態生理と治療を中心に
Acute Respiratory Distress Syndrome (ARDS): Pathophysiology and recent clinical trials
谷垣 俊守
1
Toshimori Tanigaki
1
1東海大学医学部呼吸器内科
1Department of Medicine, Division of Respiratory Medicine, Tokai University School of Medicine
pp.1259-1263
発行日 2000年12月15日
Published Date 2000/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902209
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
ARDSをめぐる最近1年間の話題
1967年にAshbaugh,Pettyらが,成因は異なるが共通した臨床像をもつ重症呼吸不全症例12例(うち1例は11歳児)を報告し1),1971年にPettyらがARDS(Adult Respiratory DistressSyndrome;成人呼吸促〔窮〕迫症候群)という名称を提唱した2).1988年になりMurrayらにより急性肺傷害(Acute Lung Injury:ALI)という概念が導入され3),1994年には米欧合意カンファレンス(AECC)で,ARDSは成人だけに限られたものではないため,Adult(成人)からAcute(急性)Respiratory Distress Syndromeに名称が変更された4).診断基準も1988年にMurrayらにより提唱された肺傷害スコア3)より簡略化され,酸素化能に重点をおき統一が図られた.この際にもARDSの定義は,肺傷害スコアと同様にALIの最重症例とされている.
その一方で,ARDSの死亡率が依然として40〜60%5)であることから,ARDSに対する特異的な治療法を早急に確立すべく1994年にNIHがARDS Networkを設立した6).AECCにおけるARDSの定義を用いて,表1に示す臨床試験が全米規模の多施設(10センター,24病院)共同無作為法により行われており,既に完了した3試験のうち2試験の結果が今年に入り論文として発表された.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.