Japanese
English
特集 手術と肺塞栓
周術期肺塞栓の原因と発生頻度
Etiology and Incidence for Perioperative Pulmonary Embolism
森本 裕二
1
,
劔物 修
1
,
早川 峰司
1
Yuji Morimoto
1
,
Osamu Kenmotsu
1
,
Mineji Hayakawa
1
1北海道大学大学院医学研究科高次診断治療学専攻侵襲制御医学講座
1Department of Anesthesiology and Critical Care Medicine, Hokkaido University Graduate School of Medicine
pp.875-881
発行日 2000年9月15日
Published Date 2000/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902151
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肺塞栓症の全体の頻度
急性肺塞栓症は,欧米では虚血性心疾患,脳血管障害に次ぐ三大疾患のひとつされるほど,頻度の高い疾患である.1998年の米国の報告では1,000人に1人,米国全体で250,000人以上が入院している1).死亡率は依然高く,発症3ヵ月で15〜17.5%にもなる1).一方,日本では比較的稀な疾患とされてきた.1970〜1980年度の剖検報告を比較すると,米国では20〜30%に肺塞栓症がみられるが,日本での頻度はわずか1〜2%にすぎない2).また,1999年度の,全国の100床以上の病院を対象とした急性肺塞栓症の頻度は1,000,000人にわずか28人で,著者らは日本では依然稀な疾患と結論している3).しかし,各施設での臨床例での報告は確実に増加している2).当施設でも,ここ数年,本題である周術期の肺塞栓症が増えてきた感は否めない.
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