症例検討 不整脈
周術期における不整脈—周術期不整脈の発生頻度およびいかに対処すべきか
塩野 晋之介
1
,
林 行雄
2
SHIONO,Shinnosuke
1
,
HAYASHI,Yukio
2
1防衛医科大学病院 麻酔科
2桜橋渡辺病院 麻酔科
pp.38-43
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200099
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周術期に不整脈にお目にかかる頻度は実は非常に高い。ただ,結果として患者の生命を脅かすケースは多くない。つまり,大多数の見落としてよい不整脈と,頻度は低いがそれが許されない不整脈がある。重篤な不整脈への対処をしなければならないのは言うまでもない。不整脈は一つの病態であり,患者管理に影響のない不整脈でも,その背景に何が潜んでいるのか,と常に問いかけることは必要だろう。もしかしたら,近い将来に患者にふりかかる大きな不幸の前兆かもしれない。
麻酔薬の進歩は,麻酔中の不整脈の抑制に大いに貢献した。一方,手術技術の進歩による手術適応の拡大と手術患者の高齢化は,今後も進むであろう。患者の高齢化に伴う術前合併症,特に心肺系合併症の増加は避けがたく,不整脈の潜在的な危険因子となるだろう。以前に比べて周術期の不整脈の頻度とその重症度は変わったのか?この問いに明確な答えを出す臨床研究には,いまだお目にかかれていない。
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