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特集 わが国に心臓移植が定着するには何が必要か
国際的視野からみた日本の心臓移植—米国の実情:30年の歴史から
Japanese Heart Transplant Program in the World
川合 明彦
1
Akihiko Kawai
1
1東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器外科
1Department of Cardiovascular Surgery, Tokyo Women's Medical University The Heart Institute of Japan
pp.553-555
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902101
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米国では1年間に2,000例を超える心臓移植が行われているが,そこに至るまでには30年の歴史がある.その歴史を形作ってきた主体は,移植医療発展に努力した医療関係者と臓器提供にシステムとして対応する方法と臓器および患者搬送のインフラストラクチャーを確立した行政,そして臓器移植について理解を示す国民である.米国で外科医として移植医療に携わっていると,日本にはない脳死移植医療の歴史に基づく社会基盤の深さを実感する.このような移植医療に対する歴史的な蓄積なしに欧米諸国と同等の移植数や結果を日本で初めから求めることには無理があろう.日本では過去30年間に脳死移植開始のために多大な努力が払われ,現時点で欧米と並ぶ領域がある一方で,30年前の米国と同じといっても過言ではない領域もあることを認識することがまず必要と考えている.
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