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はじめに
重症心不全患者の予後は1年生存率約40%と不良である1).ACE(Angiotensin convertingenzyme)阻害薬やβ遮断薬の予後改善効果が報告されているが2,3).今なお予後不良であることにかわりはない.近年,内科的治療としては,成長ホルモン治療や,新たな強心薬としてPDE(phosphodiesterase)III阻害薬などが加わり,また外科的治療として,Batista手術などが行われるようになり,さらには補助人工心臓を含めた補助循環装置の進歩など,重症心不全に対する治療戦略の幅は広がりつつある.しかし,これら治療法を駆使しても救命できない末期心不全患者に対して,心臓移植は唯一残された有効な治療法である.
海外において,心臓移植はすでに末期心不全治療として確立されており,表1に示すように多くの心臓移植が行われ,その成績も非常に良好である(表2).日本においては,1968年に第1例目の心臓移植が行われたが,種々の問題から以後中断されていた.しかし,1997年10月16日,新たに臓器移植法が施行され,ようやく日本における移植医療が再開され,1年4ヵ月を経過した1999年2月,臓器移植法施行後の第1例目の脳死からの心臓移植が行われた.その後,1999年5月,6月と計3例の心臓移植が順調に行われたが,残念ながら以後心臓移植にいたるドナーは発生していない.
ドナー不足は海外においても同様であるが,日本においては,よりいっそう深刻な問題である.限られたドナー心を有効に利用するためには,その適応となる患者を慎重に選ぶこと,また,待機期間中,心臓を含めた全身状態を厳重に管理していくことは,非常に重要な問題である.本稿では,心臓移植の適応となるレシピエントの選択とその後の管理について概説する.
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