Japanese
English
特集 血圧の調節機構を再考する
血圧調節とautoregulation
Relation between Blood Pressure and Autoregulation
鈴木 洋通
1
Hiromichi Suzuki
1
1埼玉医科大学腎臓内科
1Department of Nephrology, Saitama Medical School
pp.369-374
発行日 2000年4月15日
Published Date 2000/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902074
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はじめに
血圧は単純には総末梢血管抵抗と心拍出量の積によって規定されており,血圧を一定に保持するには総末梢血管抵抗が上昇すれば心拍出量を低下させ,逆に心拍出量が低下した場合には総末梢血管抵抗を増加させることにより血圧を一定に保持している.このように血圧は調節されており,その調節機構の鍵をにぎっているのが頸動脈の分枝部に位置する圧受容体である.この圧受容体が血圧の上昇や下降に対応して中枢神経系を介して血圧を常に一定に保持するように調節を行っている(圧受容体反射).
ここでこれらの機構とはもうひとつ別に,生体ではautoregulationという機構が存在している.このautoregulationという機構は血圧調節とは意味が異なり,血流を常に一定に保持するように働く機構である.しかし,血圧調節はこのauto—regulationとは密接に関連することが知られている.すなわち,血圧が上昇するには単純には心拍出量が増大するか,あるいは総末梢血管抵抗が増加するかのどちらかである.この心拍出量の増大もしくは末梢血管抵抗の増加に対して,各組織への酸素供給量を一定にするために各血管床はautoregulationという機構を有している.何故各血管床がautoregulationという機構を有しているかといえば,それは各組織に常に一定の酸素が供給されるように血流量を調節しているからにほかならない1).
そこで本稿では,まずこのautoregulationの調節機構について考え,さらにそれが血圧調節とどのように関連しているかを考えてみたい.
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