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特集 血圧の調節機構を再考する
心弁膜症における血圧調節
The Blood Pressure Regulation in Patients with Valvular Heart Diseases
半田 俊之介
1
,
井関 治和
1
Shunnosuke Handa
1
,
Harukazu Iseki
1
1東海大学医学部循環器内科
1Department of Cardiology, School of Medicine, Tokai University
pp.347-353
発行日 2000年4月15日
Published Date 2000/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902071
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はじめに
循環系の基本的役割は生体のエネルギー代謝を支えるためのポンプと回路である.臓器組織へのogygen tranportとそのcascade(図1)1)に代表されるガス代謝のため,エネルギー物質の供給と代謝老廃物の回収のため,血流を維持することであろう.各々の臓器需要に応じた血流を維持するために適正な血圧が不可欠である.生体の内部循環保持に関わる諸要素は比較的一定に保たれる2).調節には種々の反射調節システムが働く.要素の変動は受容体に関知される.その情報は求心性回路を上って脳幹部のセンターに伝達され総括される.総括情報に基づき調節センターから命令が遠心性回路を下って実行装置に伝えられる.いわゆるフィードバックシステムである.心血管系の重要な調節要因の一つが体循環系の血圧である.
血圧調節の一指標として平均動脈圧を取り上げ,圧に関わる因子を単純化した図を示す2)(図2).平均動脈圧は電気抵抗Ohmの法則と同様に,心拍出量と全末梢血管抵抗の積とすることができる.心拍出量を規定する要因3)として,①末梢静脈の機能が関わる心臓の前負荷,②心筋の収縮性,③洞結節の働きが規定する心拍数には神経液性因子が関与する,④全末梢血管抵抗を規定する因子は小動脈の平滑筋の動態,言い換えれば心臓の後負荷である.その調節には神経液性因子が複雑に関わるばかりでなく,血液粘度なども要因としてあげねばならない.心ポンプ機能を規定する四つの要因,前負荷,後負荷,心収縮性および心拍数が血圧の調節に重要な役割を果たす.
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