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Current Opinion
心臓リハビリテーション—慢性心不全(CHF)患者における運動療法
Cardiac Rehabilitation
大宮 一人
1
Kazuto Omiya
1
1聖マリアンナ医科大学循環器内科
1Department of Internal Medicine, Division of Cardiology, St. Marianna University School of Medicine
pp.295-299
発行日 2000年3月15日
Published Date 2000/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902062
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■心臓リハビリテーションに関する最近1年間の話題
わが国における心臓リハビリテーション(以下リハビリ)は,ほとんど急性心筋梗塞(AMI)後患者を中心に行われて来た.これは,一つには心臓リハビリの保険適用が長い間AMIに限り認められていたことがあげられる.現在では狭心症,開心術後の患者についても適応が拡大されているが,心臓リハビリ施行のためには“特定集中治療室管理または救命救急入院の届け出が受理されていること”という施設基準があり,これが心臓リハビリ施行施設の増加の障害となっている1).今後心臓リハビリがさらに普及するためには,この施設基準をもう少し緩和する方向への改訂が必要である.
わが国におけるAMIリハビリは心肺運動負荷試験によってanaerobic threshold(AT)を求め,それにより運動耐容能の評価を行い,かつ心臓リハビリの強度の指標として用いる施設が欧米に比して多い.AMI後のリハビリに関しては,わが国と欧米では入院期間や方法が異なるため,単純な比較は困難である.特に米国では,医療コストを優先する傾向があり,単純に最大運動時の心拍数から運動強度を設定する方法が多い.極端な例では,McConnellら2)の報告のように運動負荷試験を全く行わずにAMI後や冠動脈バイパス術後のリハビリを行えるかという検討もなされている.彼らは,運動負荷試験なしでも心臓リハビリは安全に施行でき,1年間のコストの削減は8,856万ドルに及ぶとしているが,わが国の実状とは根本から異なっている.
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