Japanese
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特集 心臓リハビリテーションの最前線
心不全の心臓リハビリテーション
Cardiac Rehabilitation for Chronic Heart Failure
安達 仁
1
Hitoshi Adachi
1
1群馬県立心臓血管センター循環器内科
1Division of Cardiology, Gunma Prefectural Cardiovascular Center
pp.1179-1185
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100483
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はじめに
心不全は心機能低下を原因として全身の諸臓器に異常が生じ,うっ血と運動制限を主体とした異常を来す症候群である.そのため,慢性心不全の症状である息切れと易疲労感は心臓そのものの症状ではない.
心疾患の治療は,冠動脈形成術,バイパス術,弁置換術,両心室ペーシング療法など,心臓そのものの治療が主体となる.もちろん,心不全には心臓の治療は重要であるが,前述のごとく症状・予後は全身の異常に規定されるため,全身の治療が必要となる.近年,種々の薬物が開発され,心不全に対する良好な効果が認められているが,副作用がなく,最も全身に効果的なのは運動療法である.そのため,欧米では2000年から心不全に対して,運動療法が軽症・重症を問わず必須のものとなった.日本でも2006年4月から健康保険適用となり,事実上,心不全に対する運動療法は行わなければならない治療法となった.
しかし,不用意に運動療法を行うと危険が伴う.また,心不全患者では運動に対する恐怖感や不安感が強く,医師を含めて運動に対する周囲の理解も薄い.そこで,運動療法の効果をよく認識し,本人および周囲の人が納得したうえで実行してもらうために,また事故を起こさないように適切に運動療法を行うために,心不全における運動療法の効果と運動療法実施法を理解しておく必要がある.
本稿では,運動療法を中心に,心不全に対する心臓リハビリテーションにつき概説する.
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