巻頭言
運動と呼吸
長尾 光修
1
1獨協医科大学越谷病院呼吸器内科
pp.653
発行日 1999年7月15日
Published Date 1999/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901922
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約40年前に気管支喘息の治療として両側頸動脈体剔除術を受けた62歳の男性が,発作時にも呼吸困難感が少なく頻回の重積発作を起こすため,ピークフロー管理を希望し来院した.この患者さんの運動負荷試験では,運動時の換気応答は比較的良好に保たれていた.健常者の嫌気的(無酸素)閾値(AT)以下の運動負荷では低酸素や高二酸化炭素血症はみられないので,末梢・中枢化学受容体の呼吸調節への関与は少ないとされている.
運動時の呼吸調節機構は未だ不明な点が多いが,hypothalamic locomotor region(HLR)からのcentral command,運動筋から放出される呼吸促進物質,あるいは運動筋の物理・化学受容体からの求心性刺激などの説が提唱されている.
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