臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VIII.血液化学検査
106.PaO2
長尾 光修
1
,
岡安 大仁
1
1日大第1内科
pp.1876-1877
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216210
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はじめに
PaCO2は肺胞換気によって規定されるが,PaO2の場合には,さらにその他の因子が加味される.図に従って,異常を起こす原因について説明する.①大気中の酸素は換気によって肺胞内に送られ,PAO2(肺胞気酸素分圧)を上昇させる(PAO2≒PIO2-PaCO2/R).このPAO2と肺を灌流するPVO2(混合静脈血酸素分圧,約40mmHg)の酸素分圧の較差によって酸素は血中に入り,混合静脈血を動脈血化する.したがってPAO2が低下している場合(肺胞低換気:PaCO2上昇の項参照)には当然低酸素血症を起こす,②PAO2は正常であるが,膜の酸素透過性が悪い場合(拡散障害),③換気・血流比の不均等分布,④混合静脈血が動脈血に混入する場合(シャント),などが低酸素血症の原因となる.また組織での酸素供給を考えるときには,酸素を運搬するHbの量や異常Hb,血流にも注意しなければならない.
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