Japanese
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Topics Respiration & Circulation
eotaxinをめぐって
Respiration & Circulation
仲村 秀俊
1
1川崎市立井田病院呼吸器科
pp.205-206
発行日 1999年2月15日
Published Date 1999/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901854
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■最近の動向 好酸球遊走能を持つCCケモカインeotaxinは好酸球に主として発現されるCCR−3レセプターに特異的に結合するため,気管支喘息などの好酸球性炎症の病態への関与が予想された.その後,CCR−3の発現は喘息と関わりの深い好塩基球,Th 2リンパ球でも報告され,また,eotaxinは遊走能のみならず好酸球の活性化と骨髄からの放出促進作用も有することが明らかとなった.一方でCCR−3のリガンドとしてeotaxin,RANTESに加え,MCP−3,4,5,eotaxin−2などのCCケモカインも報告され,マウスなどの実験系においてアレルギー性気道炎症における複数のケモカインの関与が示唆されつつある.しかしながら,それぞれのケモカインの生理的な役割の違いはまだ十分に解明されたとはいえない.また,炎症局所への好酸球集積のメカニズムとしてケモカイン単独ではなく,好酸球増殖,分化促進因子であるIL−5の役割が各種動物モデルにおいて明らかにされた.実際の喘息患者の気道においてもeotaxinの発現が健常者に比べ増強しているとの報告がみられ,eotaxinの気管支喘息患者の病態への関与が示されつつある.しかし,喘息患者の種々の病態へのeotaxinをはじめとするCCケモカインの関与についての臨床的な検討はまだ始まったばかりであり,中和抗体,レセプターアンタゴニストなどによる喘息患者の臨床レベルでの治療の可能性については今後の検討が待たれる.
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