Topics Respiration & Circulation
レニン—アンジオテンシン系遺伝子多型と循環器疾患
長嶋 淳三
1
,
中澤 潔
1
1聖マリアンナ医科大学第二内科
pp.103-104
発行日 1999年1月15日
Published Date 1999/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901838
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■最近の動向 1992年,Cambienらにより心筋梗塞症の危険因子としてACE(angiotensin converting enzyme)遺伝子多型が報告され,以降,レニン—アンジオテンシン系遺伝子多型と循環器疾患との関連が多数報告されている.主にはACE遺伝子多型のD/D(deletion/dele—tion)型・Dアレル(allele)による血中あるいは組織内ACE高濃度,アンジオテンシノーゲン遺伝子235番多型のTアレル(メチオニン→スレオニン変異)によるナトリウム貯留の亢進,アンジオテンシンII type 1遺伝子多型のCアレル(アデニン→シトシン変異)によるアポトーシスの抑制が各種循環器疾患の発生に寄与するとされている.一方,これらの遺伝子多型と循環器疾患との関連を否定する報告も多数存在するが,本稿で取り上げた文献のごとく,多数かつ背景が均一な対象を検討することにより,肯定的な傾向にあると思われる.本邦筑波大学の遺伝子ノックアウトマウス作成に代表される研究により各種遺伝子の役割・関連が次第に解明されっつある.今後の展望としては遺伝子型による治療手技・薬剤の選択,遺伝子治療の導入が期待される.
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