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■最近の動向 細胞内シグナル伝達機構に機能する細胞内蛋白は数多くあり,細胞外刺激,細胞,発現する機能および産生物質,などの種類によって機能する蛋白が決定される.近年,mitogen-activated protein(MAP)kinase superfamily,すなわちextracellular signal—regulated kinase(Erk),p38 MAP kinase, c-Jun-NH2—terminal kinase(JNK)が同定され,それぞれの機能が次第に明らかにされてきた.その他にErk5があり,その機能は不明であったが,最近,Ras経路による活性化と下流のc-mycとの関連性が示唆されている.Erkは古典的なMAP kinaseであり,当初,細胞の増殖刺激によりリン酸化・活性化し細胞増殖・分化に機能するkinaseであると考えられていたが,最近,種々のサイトカイン発現に関与することが明らかにされつつある.p38 MAP kinase,JNKは多彩な細胞外ストレス,すなわち,高浸透圧,紫外線,放射線,DNA傷害薬剤などでリン酸化・活性化され,細胞のアポトーシス誘導に機能するkinaseとして同定された.しかし最近,サイトカイン・化学伝達物質産生や細胞増殖などを制御する機能を有することが明らかになっている.さらに細胞骨格integrityの調節作用におけるG蛋白とMAP kinase superfamilyのcross-talkも明らかにされつつある.本解説では,平滑筋細胞,気道上皮細胞の機能発現に関与する細胞内シグナルをMAP kinase superfamilyに焦点を絞り解説する.
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