Japanese
English
綜説
心筋のアポトーシス
Apoptosis in Myocardium
竹村 元三
1
,
藤原 久義
1
Genzou Takemura
1
,
Hisayoshi Fujiwara
1
1岐阜大学医学部第2内科
1Second Department of Internal Medicine, School of Medicine, Gifu University School of Medicine
pp.57-66
発行日 1999年1月15日
Published Date 1999/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901830
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アポトーシスとは
Kerrらは,ネクローシス(necrosis,壊死)とは異なった特徴的な形態変化を来して死んでいく紬胞の死を観察し,これをギリシャ語の「木の葉が自然に落ちる」の意からアポトーシス(apoptosis)と名づけ,生体の細胞交替に重要な機能を果たしていることを推察した1).多細胞生物が,その細胞社会の統一性をバランスよく保持するためには,細胞の増殖・分化の制御と同時に細胞の死を制御することが重要である.アポトーシスは元来生理的かつ遺伝子により「制御された」細胞死であり,発生・器官形成,正常な細胞のターンオーバー,ホルモン依存性の組織萎縮,免疫系における生体防御機構の確立などの過程における「不要な」細胞の除去機構の基礎をなしている1〜3.一方,アポトーシスの異常に起因する疾病が存在する.すなわち,癌,自己免疫疾患,エイズ,神経変性疾患などの発症にアポトーシスの異常が密接にかかわっていることが明らかになってきた(表1)4).
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