Topics Respiration & Circulation
Central Chemoreception
小山田 吉孝
1
1慶應義塾大学医学部呼吸循環器内科
pp.1151-1152
発行日 1998年11月15日
Published Date 1998/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901801
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■最近の動向 呼吸の中枢性化学受容(central chemoreceptioln)は,1963年のMitchellらの報告以来,腹外側延髄(ventrolateral medulla:VLM)で行われると考えられてきた.しかし,90年代初めよりこの化学受容に関与する部位が脳幹内に広く分布していることが示唆されるようになってきた.きっかけとなったのは,DartmouthのNattieらのグループによる一連の実験である.彼らは,in vivoのラットおよびネコの脳幹局所にごく微量のacetazo—lannideを注入し組織を酸中生化した際の呼吸の変化を観察することによって化学受容に関与する領域の同定を試みた.それによれば,VLM以外にも背側延髄の孤束核(nucleus tractussolitarius;NTS),延髄正中線上に位置する縫線核(raphe)および橋背側第4脳室底外側縁に沿って存在する青斑核(locus coeruleus;LC)へのacetazolalmideの注入が実験動物の呼吸を促進させた.これらの神経核の化学受容への関与を明確にするためには,これらの神経核を形成するニューロンのCO2/pHの変化に対する感受性(化学感受性)を調べる必要がある.
ここに挙げた論文はこれらのニューロンの化学感受性を電気生理学的または免疫組織学的手法を用いて検討したものである.これらの論文は,呼吸の中枢性化学受容にあずかる部位が脳幹内に広く分布しているという説を強く支持している.
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