附録
中央材料室Central Supply
瀧澤 春技
1
1都立廣尾病院
発行日 1951年4月15日
Published Date 1951/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906844
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最近大きい病院の在り方の一つとして「中央材料室をもつ」という事が取上げられている樣でありますが,これは病院管理の中で最も大きい部門を占める看護力の運營並びに衞生材料,醫療機械,器具等の管理,此の二つの大きい問題を中心として設置されて始めてその效を奏するのであろうと思います。そして此の運營のいかんによつては病院の經濟面にも亦大きな影響を及ぼす事は云うまでもない事であります。新しい仕事といいますか,とにかく今迄にやつていなかつた事を形付ける,又は作り出すということには必ず,イバラの道がつきものであるのは今も昔も同じでありますが,特に現在の日本の貧困状態に在つて,理想的な近代病院の香りを漂わせて此處に集る澤山の不幸な患者さん達が少しでも明るい,清潔な環境におかれて而も科學的な治療が得られ,更に退院後の健康教育迄して上げる事が出來たら………私達の“看護”という仕事がいかに地味であり,困難の伴う仕事であつても他の仕事からは到底味えないよろこびと誇りと使命感を感ずる筈でありましよう。
このよろこびがあればこそどんなむずかしさにも耐えこれを引受けて豫算の許される限りの範圍内で病院各方面の協力を得て,これがよい仕事で患者が幸福になるという事なら,何はさておいてもやつて見るべきだと痛感しています。此の「やつてみる」という氣持ちから手を付けて,私共の病院の中央材料室も,今日色々の問題を持ち乍らも運轉をしているものの一つなのであります。
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