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はじめに
間質性肺疾患のなかで,過敏性肺炎やサルコイドーシスは,肺へのリンパ球の集積を特徴とする疾患であるが,間質性肺炎,特に病理学的にusual interstitial pneumonia(UIP)の所見を呈する特発性間質性肺炎や膠原病に伴う間質性肺炎ではは好中球の役割が病態の形成に重要であると考えられている.そこで本稿では,間質性肺炎における好中球の役割,特に肺の線維化との関連について述べる.
原因を問わず様々な肺の炎症性疾患においては,肺に白血球やマクロファージの集積が起こる.白血球のなかで好中球の集積は,通常細菌性肺炎や,エンドトキシンショックなどに伴う急性呼吸促迫症候群(ARDS)で顕著に認められるが,慢性疾患になると慢性気道感染症を除き,好中球が前面には現れて来ることは少なくなる.
間質性肺炎における好中球の関与は,1)特発性肺線維症(IPF)症例の気管支肺胞洗浄液(BALF)中に様々な程度の好中球集積がみられること1,2),2)好中球由来のメディエイターが血中やBALF中で増加していること3〜5),3)好中球走化因子がBALF中で増加していること6,7),4)病変の進行した症例に好中球の増加が多くみられ,予後と相関し2,8〜10),ステロイド有効例で治療後好中球の減少がみられること11),5)間質性肺炎動物モデルにおいて好中球の関与が認められることなどから推測されている.この反面,1)病変のあまり進行していない安定期の症例では,BALF中に好中球増加を必ずしも認めないこと2,9),2)BALF中好中球数増加と予後や治療への反応性に必ずしも相関がないこと12,13)などから好中球の関与を否定する意見もみられる.
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