Japanese
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特集 好中球と肺疾患
好中球と急性呼吸促迫症候群(ARDS)
Neutrophil and Acute Respiratory Distress Syndrome (ARDS)
金沢 実
1
,
福永 興壱
2
Minoru Kanazawa
1
,
Kouichi Hukunaga
2
1埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
2慶應義塾大学医学部内科
1Departnnent of Respiratory Medicine, Saitama Cardiovascular and Respiratory Disease Center
2Departnnent of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.1083-1089
発行日 1998年11月15日
Published Date 1998/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901791
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はじめに
急性呼吸促迫症候群(acute respiratory dis—tress syndrome:ARDS)とは,肺に対して直接または間接的に加わった侵襲に対する生体反応の結果生じる肺の急性炎症であり,病態生理学的には微小血管透過性亢進に基づく透過性肺水腫である.肺への侵襲すなわちARDSの危険因子としては,敗血症,胃酸の誤嚥,重症外傷,ショック,重症肺炎,膵炎などがあげられる.臨床的特徴として,急性発症,低酸素血症,胸部X線の両側性浸潤影,左心不全の否定,の定義が受け入れられている1).この定義では急性肺損傷(acutelung injury:ALI)とARDSは同一の病態形成機序に基づく状態で,より重症なものをARDSとしている.病理学的には,好中球の肺浸潤,肺胞性浮腫,硝子膜形成,肺血管内皮と肺胞上皮の損傷などびまん性肺胞傷害の像を呈する.
本稿ではまずARDSの損傷発生における好中球の関与をサイトカイン動態の面から概説したい.続いて好中球機能の二面性,すなわち生体防御と損傷発生について,顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)投与時の肺損傷発生の成績から論じたい.
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