Japanese
English
特集 吸入療法の基礎と臨床
COPDと吸入療法
Inhaled Bronchodilator Treatment of COPD
寺本 信嗣
1
,
長瀬 隆英
1
Shinji Teramoto
1
,
Takahide Nagase
1
1東京大学医学部老年病学
1Department of Geriatric Medicine, The University of Tokyo
pp.885-891
発行日 1998年9月15日
Published Date 1998/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901758
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はじめに
呼吸器疾患のなかでも最も重要な疾患のひとつである慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructivepulmonary disease;COPD)は,高齢者人口の増加とともに,その頻度と疾患の重要性が21世紀にはさらに増すと予測されている1〜3).これまでに病因,機能的変化,形態学的変化,自然歴などについて詳細な検討がされてきたが5〜7),α1-アンチトリプシン欠損症を除けば,決定的な遺伝的素因や原因はいまのところ明らかではない.しかし,米国では,COPDはタバコ病と認識されており,禁煙が病態の悪化を防ぐために最も重要であると強調されている4).一方,気流閉塞がすでに生じている患者の機能障害の治療法としては,肺気量減少手術(Lung volume reduction sur—gery)の有用性が報告されているが,完全に回復するわけではない.
内科的治療法としては,種々の経口薬,吸入薬が症状の改善に有効であり,特に近年は抗コリン薬吸入療法の有用性が確立されてきた1〜4).そこで,本稿では,COPDの吸入療法について文献的考察を含めて解説した.
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