Japanese
English
特集 呼吸循環系の順応と適応
無重力下における自律神経系の順応と破綻
Cardiovascular Adaptation and Deconditioning Regulated by Autonomic Nervous System in Weightlessness
亀谷 学
1
,
加茂 力
1
,
山内 正博
1
,
橋本 信行
1
Manabu Kamegai
1
,
Tsutomu Kamo
1
,
Masahiro Yamauchi
1
,
Nobuyuki Hashimoto
1
1聖マリアンナ医科大学第二内科
1The Second Department of Internal Medicine, St. Marianna University School of Medicine
pp.971-981
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901568
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はじめに
宇宙空間は無重力(正確には微小重力micro—gravity)のために,如何なる身体活動を行っても,特別な条件設定をしない限り,生理学的所見は重力下における不活動(inactivity)に近似することが知られている1).
地球上では,循環系は重力による静水圧(hydrostatic pressure)の影響を受けている.そのために循環系を血液柱と見なすと,血液は身体活動に伴い身体の下方に推移する.しかし,宇宙では静水圧が極めて小さく,如何なる体位においても血液は頭側に移動する.そのために宇宙では頭部充満感や顔面浮腫が出現する.生体は無重力に晒されると,この状態に早期(24〜48時間以内)に順応し,宇宙に適応した循環調節を始める1).しかし,長期間重力のもとに滞在すると,これに不活動による代謝需要の低下が加わる1).その結果,重力下への復帰に際して,起立耐性低下や運動能力減退などのcardiovasculardeconditioning2)が生じる.その生理学的機序には,無重力のもとでの循環血液量の減少,骨,筋代謝に基づく電解質バランスの変化や,下肢筋肉量の減少など多くの因子が関わるが詳細は解明されていない3).
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