Topics Respiration & Circulation
慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する抗コリン剤吸入療法
赤柴 恒人
1
1日本大学医学部第一内科
pp.209-210
発行日 1997年2月15日
Published Date 1997/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901428
- 有料閲覧
- 文献概要
■最近の動向 COPD患者に対する抗コリン剤の吸入療法はこれまでにもある程度の効能が報告され,治療の一環として一定の役割を果たしているが,その長期にわたる有効性については確証が得られていない.COPDに対する薬物療法には,テオフィリン製剤,β刺激剤,抗コリン剤の吸入療法などがあるが,いずれも長期予後に関しては有効性が示されていない.しかし,近年開発された抗コリン剤のipratropiumは,COPD患者に対しては気管支拡張作用においてβ刺激剤よりも有用とされ,COPDの薬物療法としては第一選択の位置を獲得している.近年,気管支喘息と同様COPDに関してもガイドラインが欧米において発表されているが,定期的な抗コリン剤の吸入療法が推薦されている.確かに抗コリン剤吸入による気管支拡張作用はCOPD患者の呼吸困難の軽減に有効であろうが,この効果が持続し,最終的に患者の予後,QOLに対しての有効性が検証されなければならない.最近,欧米で行われている大規模studyの結果がいくつか報告されており,また,本年のAmerican Journal of Medicine誌には,COPDと抗コリン剤の特集が組まれている.これらの成績は,いずれもCOPDにおける抗コリン剤のregular use法の臨床的有用性を認めている.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.