増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅲ 呼吸器疾患治療薬
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
80.COPDと抗コリン製剤
井上 甝夫
1
1国立療養所南福岡病院
pp.1939-1941
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221200
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慢性閉塞性肺疾患(以下COPD),すなわち慢性肺気腫,慢性気管支炎,びまん性汎細気管支炎に共通する気道の閉塞性変化は,気管支喘息ほどではないにせよ,種々の因子によって変動するものであり,また対症療法によっても改善する余地がある.このことから,その治療に気管支拡張剤が通常用いられることも共通している.
気管支拡張剤のうち,β刺激剤は攣縮した気管支筋を弛緩させて2次的に去痰を可能にし,キサンチン誘導体は気管支筋の弛緩と粘膜浮腫の除去作用とを有する.これらはいずれも,組織のcyclic AMP濃度を高めることによって,気道平滑筋の弛緩を取り戻すか,あるいは攣縮に対する拮抗状態を維持することによって治療効果が得られるものである.これに対し,もう1つの気管支拡張剤である抗コリン製剤は,コリン受容体遮断作用によって組織のcyclic GMP濃度の上昇を抑制することで,気管支攣縮の寛解またはそれを防止するものである.
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