Japanese
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特集 気管支喘息重積発作をめぐって
先天性素因と喘息の発生・重症化
Genetic Components of Asthma and its Severity
棟方 充
1
Mitsuru Munakata
1
1北海道大学医学部第一内科
1Department of Internal Medicine I, Hokkaido University School of Medicine
pp.1229-1238
発行日 1996年12月15日
Published Date 1996/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901378
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はじめに
喘息発症への遺伝的要因の関与は,これまでの多くの疫学的研究により検討されてきた。その結果,喘息には家族集積性があること,一卵性双生児では二卵性双生児に比較し喘息発症の一致率が高いこと,などが判明し,その発症に遺伝的要因が重要な関与をすることが明らかにされた.
しかし,これらの検討では,二つの問題点が残された.一つは,その遺伝形式である.当初,単純なメンデルの法則で理解しようとした研究においても,常染色体優性遺伝と劣性遺伝に意見が分れた.しかし,最近の検討では,喘息の家系内分布は単純なメンデルの法則では説明できないとするものが多い.また,喘息発症への環境要因の関与は明らかであり,多くの遺伝的要因と環境要因が関与する多因子遺伝性疾患と考えられている.もう一つの問題点は,遺伝要因が関与するとして,その要因の「本体は何か?」という問題であった.この問題点は,近年の分子遺伝学の進歩により,遺伝子型(genotype)と表現型(phenotype)の対比が可能となったことにより解決されつつある.
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