Topics Respiration & Circulation
新しいシクロオキシゲナーゼ,Cox−2
浅野 浩一郎
1
1東京電力病院内科
pp.1093-1094
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901354
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■最近の動向 シクロオキシゲナーゼ(プロスタグランジンG/H合成酵素,プロスタグランジンーエンドペルオキシド合成酵素)活性は生体内のほとんど総ての臓器,細胞に発現し,その最終産物(プロスタグランジン,トロンボキサン,プロスタサイクリン)は循環系,血小板,骨,免疫系,生殖系などにおける多岐の生体機能に関与する.1989年にcDNAがクローニングされて以来,この酵素本体の解析が行われてきたが,各種刺激時のRNA量と活性の挙動が一致しないことから第2のシクロオキシゲナーゼの存在が想定されていた.1991年に複数のグループにより,細菌内毒素,炎症惹起性サイトカイン,成長因子,腫瘍プロモーターにより誘導される新しいシクロオキシゲナーゼ(Cox-2)がクローニングされた.いくつかの実験炎症モデルにおいて炎症巣に選択的にCox−2が誘導されることから,特異的Cox−2阻害剤が慢性関節リウマチを含む炎症性疾患において胃粘膜傷害,腎障害などの副作用を持たない抗炎症薬となりうるのではないかと注目されている.しかし様々な細胞,あるいは実験モデルでの解析が進むにつれて,Cox−2イコール炎症関連酵素という図式が必ずしも当てはまらないケースも報告されている.また呼吸器疾患におけるCox−2研究の報告はまだ少なく,この分野でのこれからの研究の発展が期待される.
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