トピックス
血小板シクロオキシゲナーゼ欠損症
大熊 稔
1
1京大・第一内科
pp.935-936
発行日 1987年7月1日
Published Date 1987/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204219
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アラキドン酸(AA)は各種の細胞に存在するシクロオキシゲナーゼ(CO)によりプロスタグランディン(PG)エンドペルオキシド(PGG2,PGH2)に変換され,さらに各細胞に固有な酵素により種々なPGやトロンボキサン(TX)などに代謝されて,その細胞や組織に特徴的な機能の誘発ないし調節を行っている.すなわち,血小板ではPGH2は主としてTX合成酵素によりTXA2やマロンジアルデヒド(molondialdehyde;MDA)とHHT(hydroxyheptal-decatrienoic acid)となり,TXA2やPGG2,PGH2は血小板機能(凝集や放出反応)を誘発し血管を収縮させるが,TXA2は特に不安定で,速やかに分解されてTXB2となり失活する.また一部のPGH2はPGD2,PGE2,PGF2αにも変換される.一方,血管組織ではPGHb2は主としてPGI2合成酵素によりPGI2(プロスタサイクリン)に変換されて血小板機能を阻害し,血管拡張作用を呈するが,これも不安定で6-keto-PGF1αに分解されて失活する.
このように血小板と血管(特に内皮細胞)は,ともにAAから互いに反する作用を有する不安定な物質を生成し,その作用のバランスにより生体内での血小板機能や止血,血栓形成に対し恒常性を維持すべく調節していると考えられている1,2).
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