巻頭言
集団発生
斎藤 厚
1
1琉球大学医学部第一内科
pp.1007
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901341
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感染症集団発生の原因追究は往々にして困難を極める.
1994年夏,東京都内の某企業の研修センタービルにおいて,45名全員が発熱,咽頭痛,関節痛,頭痛,呼吸困難を訴えた.診療に当たった医師はレジオネラ属菌による「ポンテイアック熱」の集団発生を疑い,治療と同時に診断のための血清採取を行った.保健所と専門家によるクーリングタワーの検査では,L.Pneumophila,sero—group 7が検出され,この菌に対する血清抗体価の上昇がわずか1例にみられた.クーリングタワー水で増殖したレジオネラ属菌が換気のために開放された窓から霧状になって侵入し,気道から吸引されて発症したものと推定された.
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