Japanese
English
特集 肺における水の動態
肺毛細血管傷害
Pulmonary Capillary Injury
石坂 彰敏
1
,
長谷川 直樹
1
Akitoshi Ishizaka
1
,
Naoki Hasegawa
1
1慶應義塾大学医学部内科
1Department of Internal Medicine, Keio University, School of Medicine
pp.691-698
発行日 1996年7月15日
Published Date 1996/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901283
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はじめに
肺毛細血管を介した水の動態に関しては,いくつかの因子が互いに従属変数として複雑に絡み合った形で数式化される.詳細は他稿に譲るが,肺における水の動態を単純化して考えた場合,主たる因子は,①圧の因子(肺毛細血管内腔と肺間質の間の(a)静水圧差および(b)膠質滲透圧差),②肺毛細血管透過性の因子,③肺リンパ系による水分除去の因子である.
本稿の主題である肺毛細血管傷害においては,②の肺毛細血管透過性の因子が重要な意義をもち1),肺における水の動態に大きな影響を及ぼす.すなわち,毛細血管透過性の亢進により多量の水分が肺の間質に漏出するため,リンパ系による排液量を上回り,過剰な水分が肺間質のみならず肺胞腔内にも蓄積するいわゆる非心原性の肺水腫が生じることとなる.本稿では肺毛細血管傷害の発生病態における炎症細胞や各種メディエータの関与に焦点をあてて概説する.
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