Japanese
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特集 急性肺障害—薬物治療の可能性
肺血管拡張作用をもつ薬剤—NO,VIP,PGI2,PGE2,ペントキシフィリン
Treatment for Pulmonary Hypertension in Acute Lung Injury
石坂 彰敏
1
,
田坂 定智
2
,
寺島 毅
2
Akitoshi Ishizaka
1
,
Sadatoshi Tasaka
2
,
Takeshi Terashima
2
1川崎市立井田病院呼吸器内科
2慶應義塾大学医学部内科
1Respiratory Division, Department of Medicine, Kawasaki City Ida Hospital
2Department of Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.25-30
発行日 1994年1月15日
Published Date 1994/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900794
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はじめに
急性肺傷害は種々の原因で生じるが,中心となる病態は肺微小血管の損傷とそれに引き続く透過性肺水腫である.微小血管損傷には活性化した好中球やマクロファージから放出される活性酸素,蛋白融解酵素,サイトカイン,アラキドン酸代謝産物が関与することが知られている1).血管内皮損傷にかかわるこれらの液性因子は急性肺傷害時に認められる肺高血圧をも生じるものと考えられる.
現時点における急性肺傷害の治療は大きく分けて①原因疾患への治療(感染症に対する抗生剤治療など),②レスピレーターによる呼吸管理,③水分バランスの管理,④循環動態の管理(体循環…低血圧,ショック:肺循環…肺高血圧),⑤合併症対策(DIC,消化管出血など)である2).いずれも補助的療法であり,上述したような液性因子に対する特異的な治療が確立すれば救命率の向上が図れる可能性があるものと思われるが,現在のところ二重盲検試験で有効と評価された薬剤の報告はない.
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