Topics Respiration & Circulation
肺気腫の手術療法
近藤 哲理
1
1東海大学医学部第二内科
pp.663-664
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901278
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■最近の動向 在宅酸素療法の導入によって肺気腫患者の予後が向上したといっても,依然として肺気腫のQOL改善は不十分であり,予後も不良である.肺移植は優れた治療選択ではあるが,わが国ではまだ実施されておらず,ドナーの数ひとつとっても肺気腫への普遍的治療とはなり得ない.また,医療経済的立場からは肺移植のメリットは少ないという報告もみられる(Ramsey SD,et al:Chest 108:1594-1601,1996).
最近の論文では,肺移植の対案としてレーザー治療や肺容積減少術が試みられているので,今回はこれらの論文を取り上げた.レーザーは前1編に述べられているように,嚢胞性肺気腫を強く意識した治療として開発され,肺容積減少術は肺気腫患者の換気容積を犠性にして効率改善を図るべく開発された技術(Cooper JD,et al:J Thorac Cardiovascu Surg 109:106-119,1995)である.後2編は1995年4月のAATSの講演特集の記録であり,肺気腫に対するこれらの治療について論じているが,editorial(Rusch VW:J Thorac Cardiovasc Surg 111:293-295,1996)でも述べているように,レーザー・容積減少術ともに肺移植に効果は及ぶべくもないが,容積減少術は低コスト,効果,手技,ドナー不要などの利点によって肺気腫治療の選択肢として位置づけられ,今後の発展が期待される.
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