Topics Respiration & Circulation
先天性QT延長症候群の遺伝子解析と治療
中沢 潔
1
1聖マリアンナ医科大学第2内科
pp.665-666
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901279
- 有料閲覧
- 文献概要
■最近の動向 先天性QT延長症候群(LQTS)は,Jorvell and Lango-Nielsen症候群(1957年),Romano-Ward症候群(1963,1964年)として発表された.これは家族性のQT延長,失神,多形性心室頻拍,突然死を特徴とし,最初の失神から1年以内に21%が死亡し,10年の死亡率は50%と予後不良の症候群である.全世界的な登録(Schwartzら)が行われており,500家系以下とまれな疾患である.病因として,左右の交感神経imbalance(1980年頃より),心筋細胞のイオンチャンネル異常(1986年より)が考えられてきた.しかし,どちらも,LQTSの病状の全てを説明するに至らず,検討が続けられていた.1991年,Keatingらによりこれらの研究の転機ともいうべき発表がなされた.遺伝子解析による染色体11の異常で,これにより,交感神経imbalanceとイオンチャンネル異常とが結びつくかに思われ,注目されたが,後の研究ではLQTSの多くでは,これに適合しないことが分かった.
現在,LQTSに関連した2種の遺伝子異常が確認されており,Wangらの報告したNaチャンネルと関連した染色体3の異常(1994年)とCurranらの報告したKチャンネルと関連した染色体7の異常(1995年)である.最近はこれらの遺伝子異常と治療薬との関係やST-Tの形状関係が報告されている.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.