巻頭言
学際的研究と臨床医教育
村山 正博
1
1聖マリアンナ医科大学第二内科
pp.227
発行日 1996年3月15日
Published Date 1996/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901208
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学会の数は増える一方である.ちょっと数えてみただけでも,私も15から20に及ぶ学会に加入している.なかには名前だけの加入で,実質的活動をほとんど行っていないものもあるので,曲がりなりにも参加意識のある学会だけでも10いくつかにはなろう.それらすべての学術集会に出席する訳ではないとしても,計算上はそのいずれかには毎月出席していることになる.もう少し小規模の研究会まで入れれば毎週のように研究発表や講演を聞いていることになる.私のようにそんなに学問的守備範囲が広くないものでもこんな有様であるから,もっと活動的な人達はさらに数多いに違いない.
学問の進歩は,一つのテーマをより深く,より精細に分析する方向に進み,かっては学会の一つのセッションに過ぎなかった小さなテーマでも今や大きな学会で討議出来るようになったものも多い.このような学問の専門化と細分化は,狭い領域の問題を深く研究する方向には適しているが,一方では日常の臨床はそれらの狭い領域の学問とは次元を異にした現実的で総合的レベルで考えなければならないことが多い.そこで狭い領域の専門的研究を総合化して,新しい視点から検討する学問が必要になってくる.学際的研究が必要になる所以である.1995年に名古屋で開催された日本医学会総会のプログラムを見れば,学際的テーマが多いことは一目瞭然である.それだけ,従来の専門体系では現代社会の需要に応じ切れないという証拠でもある.
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