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特集 チェーン-ストークス呼吸
チェーン-ストークス呼吸は治療を必要とするか
Does Cheyne-Stokes Respiration Need to be Treated?
斉藤 修
1
,
堀江 孝至
1
Osamu Saito
1
,
Takashi Horie
1
1日本大学医学部第一内科
1Department of Internal Medicine I, Nihon University School of Medicine
pp.463-468
発行日 1995年5月15日
Published Date 1995/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901052
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はじめに
チェーン-ストークス呼吸は種々の病態において呼吸調節系の安定性が損なわれた時に出現する周期性呼吸として古くから知られている.すなわち,小さな呼吸から徐々に1回換気量が増加して過呼吸状態となり,その後1回換気量が徐々に減少してついには無呼吸となるというプロセスが周期的かつ規則的に繰り返される呼吸である.チェーンーストークス呼吸は,脳血管障害,脳腫瘍,頭部外傷,脳炎などの中枢神経疾患や,うっ血性心不全,冠動脈疾患などの心血管系疾患,尿毒症,モルヒネ中毒など種々の病的な状態で認められることが知られており,予後不良のサインと考えられてきた.しかし,最近では健常者でも高頻度にチェーン-ストークス呼吸を認めるという報告もみられ,高齢者で特にこの傾向が強いとされている1,2).したがって,チェーン-ストークス呼吸自体が患者の予後を悪化させるというこれまでの考え方は疑問視されている3).しかし,うっ血性心不全患者においてはチェーン-ストークス呼吸に認められる無呼吸や血液のpH,炭酸ガス分圧の周期的な変動が,もともと悪化している心機能を更に悪化させると考えられており,チェーン-ストークス呼吸自体が患者の予後を悪化させている可能性がある.うっ血性心不全患者の治療においては,チェーン-ストークス呼吸の治療が同時に原疾患の増悪を防止する効果が期待されることもあって,これまでにいくつかの方法が試みられている.しかし,それ以外の疾患に合併したチェーン—ストークス呼吸の治療は試みられていない4).したがって,本稿では主としてうっ血性心不全に合併したチェーン-ストークス呼吸の治療について述べる.
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