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綜説
うっ血性心不全のチェーン・ストークス呼吸—持続陽圧呼吸(CPAP)による治療
Cheyne-Stokes Respiration in Congestive Heart Failure and its Treatment with Continuous Positive Airway Pressure
安間 文彦
1
Fumihiko Yasuma
1
1国立療養所鈴鹿病院内科
1Department of Internal Medicine, Suzuka National Sanatorium
pp.693-700
発行日 2000年7月15日
Published Date 2000/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902123
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はじめに
うっ血性心不全(CHF)や神経疾患の睡眠中には,重症例では覚醒中も低換気・過換気の時相が交互に起こり,呼吸の強さが徐々に増大,次いで減少するパターンがみられる.この周期的な呼吸変動がチェーン・ストークス呼吸(CS呼吸)である.アメリカ睡眠医学アカデミーによれば,CS呼吸の診断には,呼吸の漸増・漸減が最低3サイクルあること,1時間の睡眠中に5回以上の中枢型睡眠時無呼吸(CSA)か低換気が起こるか,漸増・漸減のサイクルが最低10分間持続することが必要である1).
従来の報告では,CHFにおけるCS呼吸の合併比率は33〜67%で2〜6),女性より男性に多いようである.CHFのCS呼吸は予後不良のサインとされているが4,7,8),健常人の入眠時,高齢者,新生児,神経疾患で認められるCS呼吸の予後は明らかでない9).一方,CHFにはCS呼吸のみならず閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)などの睡眠呼吸障害も認められる.Lofasoらによれば末期CHF患者の45%に10),Chanらによれば拡張障害によるCHF患者の55%に11),Javaheriら12),Sinら13)によれば,それぞれCHF患者の51%,72%に何らかの睡眠呼吸障害が合併したとされている.
近年,トロント大学のBradleyらを中心に,CHFのCS呼吸に対する持続陽圧呼吸(CPAP)の効果が検証されてきた14〜16).CPAPはすでにOSAの第一選択治療であるが,今後はさらに,CHFのCS呼吸にも用いられるようになるだろう.そこで本稿では,CS呼吸がCHFに合併するメカニズムとそのCPAP治療について解説する.
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