巻頭言
生理学と形態学,そして病態―JB WestのRespiratory Physiologyを手にして
檀原 高
1
1順天堂大学医学部医学教育研究室・総合診療科
pp.5
発行日 2009年1月15日
Published Date 2009/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101185
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先般,再版されたJB Westの呼吸生理学のテキストを手にした.実に,第8版を数えている.医師になって間もない時期に,恩師 吉良枝郎先生(自治医科大学・順天堂大学名誉教授)のもとで初版本の医局抄読会が行われた.当時,呼吸器病学研究の主流は呼吸生理で,JAP(Journal of AppliedPhysiology)は憧れのジャーナルであった.
JB Westの名前を聞いて,ピンとくる最近の呼吸器内科医は多くないかもしれない.しかし,手にする呼吸器病学の成書にはWestの肺血管モデル図は掲載されている.C15O2を吸入後の肺尖部と肺底部の放射活性の推移を記録した成績をみるとWestの肺血管モデルの根拠がわかる.C15O2吸入直後,肺尖部と肺底部のC15放射活性を比較すると肺底部のほうが高い.しかし,息止めをして放射活性をみると明らかに肺底部のほうが放射活性の減衰が著しい.肺胞気中のC15O2放射活性の減衰は,酸素が拡散により肺胞から血流へ拡散したことを意味する.つまり,立位では肺尖部と肺底部の吸気量,肺血流量とも肺底部が多いことが示されており,換気と血流はバランスをとっていることもわかる.
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