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はじめに
医療情報は検査機器の進展により,年々増大している.このため医療画像情報を記録・保管するには,大変な努力を要し,そのため様々な新しい試みがなされている.この試みの1つとしてIS&C(Image Save And Carry:可搬型医用画像記憶システム注1)が紹介されている1).このIS&C(アイザックと読む)は,持ち運びのできる大容量の記憶媒体を用いて画像を記録し,同時に高い安全性を持っているのが特徴である.単にPACS(Picture Archiving And CommunicationSystem:医用画像管理システム注2)を構成する要素機器としての用途以外に,医療情報(特に画像)の新しい管理・交換媒体として注目されている.
膨大な画像情報を光磁気ディスク(Magneto-optical disk:以下MOD)で管理し,様々な種類の情報を1枚のMODに記録することが可能となり,病院内の部門間や医療施設間で画像情報を伝達するシステムを確立することが特に重要と考えられる.情報をオンライン(コンピュータと接続している状態で即座にデータをやり取りできる)で瞬時に転送するには,IS&Cではなくネットワークを利用する必要がある.
しかし,保存という面から考えるとIS&Cは魅力的である.なぜなら,1994年3月末に厚生省から「エックス線写真等の光磁気ディスク等への保存について」2)の通知が出された.この通知によれば,技術基準にのっとった共通規格を満たす装置により,保存義務のある画像をフィルム以外にも光磁気ディスクなどの電子媒体で保存できるとなっている.技術基準では,①データの安全性,②長期間にわたる再現性,③データの共通利用の面からの技術的要求を示している.IS&C製品は,これから定められる共通規格を満たす製品となることが期待される.
IS&Cの概念は,持ち運び可能なMODを,画像データ発生源であるCR,CTやMRIの所に運搬し,その場でデータをMODに記録する.このMODを再び診察室や病棟に運搬して,医療用ワークステーション(MWS)でデータを検索・表示し診断や治療に用いることを基本としている.IS&Cは,カルテと一緒に持ち運ぶような運用形態であるオフライン(コンピュータと接続がされていない状態)を前提としており,画像を記録して持ち運ぶシステムである(図1).
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