Japanese
English
Bedside Teaching
ARDSの早期診断
Early Diagnosis of Adult Respiratory Distress Syndrome
加藤 修一
1
,
高橋 敬治
2
Shuichi Kato
1
,
Keiji Takahashi
2
1山形大学医学部第一内科
2金沢医科大学呼吸器内科
1Department of Interal Medicine I, Yamagata University School of Medicine
2Department of Respiratory Niedicine, Kanazawa Medical University
pp.1167-1172
発行日 1994年12月15日
Published Date 1994/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900969
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
およそ30年前に,Ashbaughら1)が救急治療室に運ばれた患者272名のうち,非常に類似した臨床像(突然の重篤な呼吸困難,低酸素血症)と特徴的な胸部X線写真像を呈した12名を報告した.その後,Pettyら2)が本症をadult respira-tory distress syndrome(ARDS)と名付けた.以来,ARDSの病態についての膨大な実験的,臨床的研究がなされ,その病態は,種々の原因によって刺激された細胞および液性因子が血管内皮細胞を傷害して生じた透過性肺水腫であることが解明された.しかし,死亡率は依然として60%と高く難治性急性肺傷害として位置付けられている.
ARDSが難治性である理由として,病態の多様性に伴う診断基準の不統一性とそのための治療法の確立の困難さがあげられる.これまでのARDSの臨床成績の検討過程で,Pettyらが示した診断基準2,3)(表1)では,ARDSの終末的臨床像しか把握できないという問題点がわかってきた.すなわち,Pettyらの診断基準のすべてのパラメータをみたす症例は,進行した重篤な肺傷害を呈している症例であり,治療の立場からはARDSの早期臨床像を客観的にとらえる必要性が生じてきた.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.