Japanese
English
解説
ドブタミン負荷心エコー法
Dobutamine Stress Echocardiography
千田 彰一
1
,
舛形 尚
1
Shoichi Senda
1
,
Hisashi Masugata
1
1香川医科大学第2内科
1Ⅱnd Department of Internal Medicine, Kagawa Medical School
pp.753-761
発行日 1994年8月15日
Published Date 1994/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900907
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はじめに
心筋梗塞のない狭心症では,非発作時には壁運動異常を認めないことが多いため,運動負荷や薬物負荷により心筋虚血を誘発し,心エコー図で局所壁運動異常を捉え,虚血領域を推定することが重要である1).負荷心エコー法は,心電図変化や胸痛に先行して出現する壁運動異常を連続的かつリアルタイムに観察可能であるため,有用かつ安全な検査法である.運動負荷心エコー法は運動負荷心電図に比して感度も高く2),有用性はほぼ確立されているが,運動による過換気の影響のため良好な画像が得られないことや,高齢者や運動不可能な患者に行えないなどの問題がある.
一方,薬物負荷心エコー法にはこのような欠点がなく,心筋虚血の診断に有用であると考えられ,近年欧米を中心に盛んに行われるようになった.負荷心エコー法に用いられる薬物としてはジピリダモール,アデノシンなど細冠動脈拡張作用により冠血流の不均等分布を誘発して虚血を起こすものと,ドブタミンのように心筋酸素需要の増大により虚血を起こすものとがある.
ジピリダモール負荷心エコー法は,Picanoらによって1985年に初めて報告された3).ジピリダモールにより冠動脈狭窄病変の支配領域にcor-onary flow mismatchを引き起こし,壁運動異常を検出するもので,その感度は53〜88%とされている4).
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