Japanese
English
綜説
薬物誘発肺疾患
Drug-induced Pulmonary Disorders
山口 悦郎
1
,
川上 義和
1
Etsuro Yamaguchi
1
,
Yoshikazu Kawakami
1
1北海道大学医学部第一内科
1Department of Internal Medicine Ⅰ, Hokkaido University School of Medicine
pp.933-943
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900744
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
薬物による身体の不具合の多くは,胃腸症状,皮疹,肝障害などであって,これらを併せてもせいぜい5%前後である.一般に薬物誘発肺疾患は,特定の抗腫瘍剤を別にすれば副作用の比率として算出できないほどに低い.しかし,肺胞や気道は恒常的に外来抗原の暴露を受けており,肺胞マクロファージやT細胞など免疫担当細胞も多い.また,血管内皮細胞が豊富でひとたび実質細胞傷害や免疫現象が惹起されると,流血よりの炎症細胞集積を来しやすい.背景にIIPやBOOPなど間質/細気管支疾患や気道過敏性が存在すると,こうした反応は増幅されると予想される.
一般に疾患の成り立ちを階層的に眺めてみると,遺伝的異常や外因などの根本原因があり,それによる基本的機序の下位に病態ないし病理組織像が形成される.その下位には臓器不全の状態を反映するいわば二次的な病態が加わり,種々の症状や検査所見の変動として認識される.本稿では薬物誘発肺疾患を,このような階層別に病態の流れの上流から下流へと概説する.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.