Japanese
English
綜説
胃食道逆流と肺
Gastroesophageal Reflux and Lung
鈴木 潤一
1
,
川上 義和
1
Junichi Suzuki
1
,
Yoshikazu Kawakami
1
1北海道大学医学部第一内科
1The First Department of Internal Medicine, Hokkaido University School of Medicine
pp.1148-1155
発行日 1992年12月15日
Published Date 1992/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900581
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
胃液あるいは十二指腸液の逆流である胃食道逆流(gastroesophageal reflux;GER)は,健常者においても出現する.この生理的なGERは,長時間食道内pH測定により測定時間の約4%程度認められ,胃が伸展される食後に生じ,睡眠中にはみられないことが知られている1).一方,病的なGERは主に下部食道括約部(lower esophageal sphincter;LES)の機能不全,あるいは逆流物に対する食道クリアランスの低下によって引き起こされ,臨床的には胸焼け,嚥下障害あるいは食道炎による狭窄などの食道由来の症状を呈する.さらには,食道そのものに対する障害とともに呼吸器,循環器あるいは耳鼻科領域など他臓器障害と関連することが報告されており2,3),これらの病態に対して胃食道逆流疾患(gastroesophageal reflux dis-ease;GERD)として,臨床的に包括されている4).
GERと呼吸器疾患の関係については表1に示したように,いくつかの疾患あるいは症状が関連することが報告されている.これらの疾患についてこれまでの報告を中心に,その合併機序を含め総説する.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.