Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)は,保存的治療法の進歩に加え,家庭酸素療法の普及,レスピレーターの進歩等により,長期コントロールが可能になってきた。しかし,くり返す肺・気道感染を契機として不可逆的肺実質障害が進行し,最終的に呼吸不全,右心不全で死に至る場合が少なくない。これらの例では肺性心を合併していることが多く,しかも容易に右心不全に移行しやすい。このような例では急性増悪以前に肺性心の前状態である肺高血圧症の存在を確実に把握することが必要である。右心カテーテル法により,肺動脈圧,右室拡張終期圧を実測することが理想的ではあるが,これをおこなえる施設は少なく,またCOPD患者は高齢者が多く,くり返し経過をおって測定できない等の問題を含んでいる。以上の点から,日常一般に行われる臨床検査所見より肺高血圧症の存在を把握することが望ましい。
今回我々は,一般臨床検査より肺性心前状態である肺高血圧症をあらかじめ予測できるか否かを検討するために,右心カテーテル法により平均肺動脈圧(以下【PPA】)を測定しえたCOPD 60例について,呼吸機能,胸部レ線豫,心電図,動脈血ガス分析,一般血液検査と【PPA】との単相関,ならびに重相関を求め,肺高血圧症の検出基準を設定した。また【PPA】の予測式を試作し,その有用性について検討した。
We investigated 60 patients (51 men and 9 women) aged between 23 and 83, suffering from chronic bronchitis and/or pulmonary emphysema, to clarify whether pulmonary hypertension could be predicted without right heart catheterization.
We examined the electrocardiography, lung function, chest roentgenogram, arterial blood pH, Pao2, Paco2, hematocrit and serum potassium and cloride concentration.
Pulmonary hypertension is considered to be pres-ent when the mean pulmonary arterial pressure (【PPA】) exceeds 20mmHg.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.