Japanese
English
特集 肺疾患の検査の読みと実病変
BAL
Broncho-alveolar Lavage
山口 悦郎
1
,
川上 義和
1
Etsuro Yamaguchi
1
,
Yoshikazu Kawakami
1
1北海道大学医学部第一内科
1The First Department of Internal Medicine, Hokkaido University School of Medicine
pp.15-22
発行日 1991年1月15日
Published Date 1991/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910130
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はじめに
1960年代後半から,硬性気管支鏡などを用いて気道洗浄物の細胞成分や液性成分の分析が散発的に行われていたが,米国NIHのReynoldsらが,fiberscopeを用いた気管支肺胞洗浄(BAL)を1974年頃から大々的に開始して以来1),本法によって得られる知見は急速に蓄積されていった.1977年から1978年にかけて,特発性肺線維症(IPF)や過敏性肺炎,サルコイドーシスなど2〜3の主立った間質性肺疾患のBAL細胞分画所見が発表されるのと並行して2),喫煙によるBAL所見の変化などの検討がなされ,1979年HunninghakeがそれまでのBALに関する知見を集大成する形で長文の総説を発表した3).その後1981年にはサルコイドーシスのTリンパ球サブセットは,CD 4優位であることが報告され4),1983年には本疾患の肺胞Tリンパ球のインターロイキン-2(IL-2)産生の報告が5),1984年にはインターロイキン-1(IL-1)産生の報告が続いた6).次いで1986年から1987年にかけてこれらのサイトカインの遺伝子レベルの検討がなされ,BALにも分子生物学的手法が取り入れられて現在に至っている.
こうして免疫学ないし広くは細胞生物学の発展に後押しされる形で,BALに関する知見は増大の一途をたどった結果,呼吸器病学においてBALはひとつの重要な研究領域として確立した感がある.
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