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Fibronectin (FN)は,色々な動物の血液,体液,組織中に存在する高分子糖蛋白である。かなり以前から,血漿を冷却した際に沈澱するグロブリンの存在が知られており,cold-insoluble globulin(CIG)1)と呼ばれていた。Mosessonら2)によって精製されたこの糖蛋白は,その後,線維芽細胞,脂肪細胞,平滑筋細胞をはじめとする種々の間葉系細胞や表皮,粘膜,外分泌腺などの基底膜に広く分布する3) FNと,物理化学的ならびに免疫学的性状が同一であることが明らかにされた。同種の蛋白は,抗ビラチン因子,microfibrillar protein,opsonicprotein,fibroblast surface antigen(FSA),solubie fibro—blast antigen (SF-antigen),galactoprotein a,cell surfaccprotein(CSP),cell attachment factor(CAF),cellspreading factor,large external transformation-sensitive(LETS) protein,zeta (Z)などと呼ばれていたが,これらは互いに似通った性質を有しており,最近は,同一の物質と考えられるようになり,fibronectinという名称に統一されている。この名は,コラーゲンやフィブリンのような線維性(fibra,fiber)蛋白に結合する(necture,bind)蛋白という意味である。
この10年程の間に,血液凝固系,細胞接着,細胞分化,組織構築,癌,網内系,組織の線維化などの分野におけるFNの役割が急速に注目を集めるようになり,詳細な総説や解説4〜11)が発表されている。
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