Japanese
English
特集 心臓各組織の線維化
心筋炎後の線維化
Myocardial Fibrosis in Postmyocarditis
豊崎 哲也
1
,
斉藤 俊弘
1
,
高野 博之
1
,
稲垣 義明
1
Tetsuya Toyozaki
1
,
Toshihiro Saito
1
,
Hiroyuki Takano
1
,
Yoshiaki Inagaki
1
1千葉大学医学部第三内科
1The Third Department of Internal Medicine, Chiba University School of Medicine
pp.225-230
発行日 1993年3月15日
Published Date 1993/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900629
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はじめに
心筋炎は,病理学的にはリンパ球などの炎症性細胞浸潤とその浸潤細胞に近接して存在する心筋細胞壊死と定義され1),種々の原因によって引き起こされる.なかでもウイルスなどの感染による感染性心筋炎の頻度が高く,臨床的に重要である.しかしながら,実際に心筋炎の症例を前にして原因を解明することは困難な場合が多く,特発性心筋炎と診断されることが多い.しかし,今日では特発性心筋炎の多くはウイルス性心筋炎と考えられている.ウイルス性心筋炎は,一般的には急性の経過をとる予後良好の心疾患であるが,一部の症例では亜急性,慢性に経過し,恒久的な心機能低下や時には死に至ることもある2).長期予後の検討3)では,心筋炎から回復した症例のおおよそ12%が拡張型心筋症(DCM)様病態を呈し,これは一般人口に比してかなり高率である.このような心筋炎後の心機能低下に対して,心筋炎における心筋細胞壊死に続く心筋間質の線維化が影響を及ぼしていると考えられている.
そこで本稿では,主にウイルス性ないし特発性心筋炎における線維化,線維症についてin vitroの知見も交えて論じることにする.
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