Japanese
English
Bedside Teaching
最近の非定型抗酸菌症
The Present Status of Nontuberculous (Atypical) Mycobacterial Infections
田中 栄作
1
,
網谷 良一
1
,
久世 文幸
1
Eisaku Tanaka
1
,
Ryoichi Amitani
1
,
Fumiyuki Kuze
1
1京都大学胸部疾患研究所第一内科
1First Clinic of Medicine, Chest Disease Research Institute, Kyoto University
pp.1183-1190
発行日 1992年12月15日
Published Date 1992/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900585
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はじめに
結核菌は,ミコバクテリウム属(通称:抗酸菌)のなかで結核の原因菌として代表的な菌種である.しかし,1950年代以降,結核菌以外の多くの抗酸菌(種)がヒト感染症の原因菌になることが明らかになってきており,その罹患率も次第に増加傾向を示している.
非定型抗酸菌(nontuberculous mycobacteria;NTM,またはatypical mycobacteria;AM)とは抗酸菌のなかから結核菌群と特殊栄養要求菌である癩菌(M.leprae)などを除いた他の多くの抗酸菌種を一括した呼び名である(表1).したがって,非定型抗酸菌症(NTM症またはAM症)とは,原因菌,病態ともに異なる種々な抗酸菌感染症を寄せ集めた通称であり,現在,個々の原因菌による感染症の病態がより詳細に検討されつつある段階である.わが国では,NTMの中ではM.avium complex(M.aviumとM.intracellulare2菌種を一括呼称したもの)と,M.kansasiiを原因菌とする感染症の罹患が多く,抗酸菌感染症の領域全体からみると,結核菌,M.avium,M.intracellulare,M.kansasiiの4菌種による感染症がそのほとんどを占めている.
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