Japanese
English
特集 気管支喘息とその周辺
気管支喘息と胃食道逆流症
Bronchial Asthma and Gastroesonhageal Reflux Disease
宮崎 広亀
1
,
鈴木 潤一
2
Hiroki Miyazaki
1
,
Junichi Suzuki
2
1北海道大学医学部内科学第一講座
2国家公務員共済組合連合会幌南病院内科
1First Department of Medicine, School of Medicine, Hokkaido University
2Department of Internal Medicine, Kohnan Hospital
pp.553-560
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902299
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
1892年にOsler1)は気管支喘息と胃食道逆流が関連していることを示唆した.1934年にはBray2)が気管支喘息患者では食餌を多く摂取すると喘鳴発作が増悪しやすいことを記述し,この原因として胃の伸展刺激による迷走神経反射が気管支収縮をもたらしたと推測している.1960年代に入り,気管支喘息の発症機序の一因として胃食道逆流症(GERD)の関与が指摘されるようになり3),気管支喘息や肺気腫患者には食道裂孔ヘルニアの頻度が高いこと4)も報告された.また,食道疾患患者では呼吸器疾患の合併が多いことも報告されている5).その後,気管支喘息のみならず,いくつかの呼吸器疾患とGERDが関連することが報告されているが,両者の合併病態,患者の特徴などについては必ずしも明らかになってはいない.
しかしながら,GERD治療により喘息症状が改善する症例が存在すること,喘息難治化の要因にGERDが関係していることも知られており6),気管支喘息の診断,治療のうえではGERDが関連している症例の存在を常に念頭におくことが必要である.
本稿ではGERと気管支喘息の関係についてのこれまでの知見,更にGERDに起因する気管支喘息の診断と治療について述べる.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.