Japanese
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特集 血管内皮細胞からみた循環器疾患の新しい展開
血管内皮と高血圧—特にNOとエンドセリンを中心に
Vascular Endothelium and Hypertension with Emphasis on NO and Endothelins
平田 結喜緒
1
Yukio Hirata
1
1東京医科歯科大学医学部第2内科
12nd Department of Internal Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.1075-1084
発行日 1992年11月15日
Published Date 1992/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900569
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はじめに
血管内腔を被う一層の内皮が,血管トーヌスを調節する活性因子の産生,放出の場として注目されるようになったのは最近になってからである.なかでも1980年,FurchgottとZawadzki1)による内皮由来血管弛緩因子(endothelium-derived relaxing factor:EDRF)の発見が契機となっている.EDRFに加えて内皮が内皮由来血管収縮因子(endothelium-derived constricting factor:EDCF)も産生,放出していることが明らかとなり,なかでも1988年,柳沢,真崎ら2)による内皮由来収縮性ペプチド,エンドセリン(ET)−1の発見は血管内皮・平滑筋連関の研究に大きなインパクトを与えた.表1に現在まで知られているEDRFとEDCFに属する血管作動物質をまとめた.血管内皮におけるEDRFやEDCFの産生,放出,あるいはその作用の異常は血管トーヌスや局所血流量の調節に異常ををもたらすことになり,高血圧,動脈硬化,血管攣縮といった病態の発症に重要な役割を果たしているものと推測される.
本稿では,その本体が解明されて最も注目されているNOとETを取りあげて最近の知見を紹介し,高血圧との関連性を述べてみたい.
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