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特集 エンドセリン研究の新展開
エンドセリン拮抗薬の臨床応用の可能性
Endothetin Receptor Antagonists:Their possible clinical implication
平田 結喜緒
1
Yukio Hirata
1
1東京医科歯科大学第2内科
12nd Department of Internal Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.1009-1017
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901342
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はじめに
エンドセリン(ET)は1988年にわが国で発見された最も強力な血管内皮由来収縮性ペプチドである.ETはその後3種類のアイソフォーム(ET-1,ET−2, ET−3)から構成され,さらにそのレセプターもET−1選択的(ETA),およびETアイソフォーム非選択的(ETB),の2種類のサブタイプから構成されることが明らかにされた.最初に発見されたET−1は血管内皮だけではなく,広範な組織でも産生され,またET−2やET−3も僅かではあるが多くの組織で産生されている.また,ETAおよびETBレセプターはほぼ全身の組織で発現しているが,動物の種差や組織の部位差によってその発現量や比率は異なっている.したがって,ETの持つ多彩な生理作用はETファミリーとレセプターサブタイプとの相互作用によって引き起こされるものと考えられている.
1992年,選択的ETA拮抗薬のBQ−123が登場し,引き続き選択的ETB拮抗薬や非選択的ET拮抗薬が開発された.これらETレセプター拮抗薬はETの持つ生理的ならびに病態生理学的意義を解明するうえで重要な道具として広く用いられ,多くの基礎的な知見が得られている.
本稿では,ET−1と病態との関連性を簡単に述べ,ETレセプター拮抗薬の種類と各種病態での効果について最近の知見を述べてみたい.
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